金魚のエア食いに関する記事を何度か書きましたが、今回はその完結編(前編)となります。
詳しくは順を追って書きますが、中途半端に治ったとかではなく我が家の金魚は転覆病を完全に克服しました。
そしてエア食いを原因とする転覆病の仕組みも、おそらく特定したのでそちらについても後編で触れたいと思います。
目次
まずは金魚の転覆病の原因をおさらい
金魚の病気の中で、転覆病は比較的メジャーな病状と言えますが、完全な原因は特定されておらず治療法も確立されていません。
これは飼育環境の違いや、金魚の種類の違いから原因を一概に言えないことも理由にあると思います。
それでは現在考えられている主な原因をおさらいしてみましょう。
主な転覆病の原因
- エサに何らかの原因
- 空気を食べる。通称:エア食い
- 水質悪化
- 肥満や先天性
- 水温や環境の変化
- その他の病気の症状
これら以外にも原因があるかもしれませんが、金魚の転覆病の原因は大きく分けて「エア食い”有”」と「エア食い”無”」の2つに分けられます。
またエア食い金魚が他の病気を併発することも多く見られ、原因特定を難しくしています。
エサが原因で金魚が転覆する
例えば浮上性のエサが原因であるとか、古くなったエサが原因だと言われることがありますが、沈下性のエサを与えても新しいエサに変えても症状が改善されないことが殆どです。
給餌の後に無心に空気を食べる「エア食い」が転覆の初期症状として現れるケースも多いです。
つまりエサの後に転覆することから、エサが疑われるという図式です。
金魚が空気を食べて転覆する
上記のように、エサ後のエア食いにより転覆病が発症することから、空気を食べることで転覆していると考えられています。
またその証拠として、フンに空気が混ざるなどの症状があります。
ただし、フンに含まれる空気は、消化不良によるガスだと考える研究者もいます。
水質悪化で何らかの病気を発症
水質の悪化(水換え不足など)が原因で内臓疾患になり、転覆病を発症することもあります。
この場合、エア食いによる普通の転覆と違い、腹部の異常な腫れや尾の曲がりなどが見られる場合があります。
これらの症状があるケースでは、腎臓肥大症や腸満などの病気が考えられます。
肥満や先天性の問題で転覆する
転覆病の原因が分からない場合に、肥満だとか先天性だとか言われることが多いと感じます。
原因が肥満の場合は、絶食やエサの量を減らすなどの対応で症状が緩和されることがあるかもしれませんが、私の経験ではそれらの対応で転覆病が治ることはありません。
また先天的に転覆しやすい種類や個体もいると思いますが、まずは空気を食べていないかや、他の病気の症状が出ていないかなどを確認してみて下さい。
水温や環境の変化や、その他の病気が原因で転覆する
水質悪化の場合もそうなのですが、金魚が転覆する問題の以前に、金魚にとって悪い環境はスグに改善していくべきです。
水温の変化が疑わしいのであれば、ヒーターなどを使い水温を一定に保てば良いことです。
水換えの際は、水温を合わせてから交換するなどの対応が必要です。
また他の病気が疑わしい場合は、転覆病の治療ではなく、その病気の症状にあった治療をした方が良いでしょう。
金魚の転覆病の症状
金魚の転覆病は、単純にひっくり返って浮かぶだけじゃなく、他の症状がみられる場合もあります。
これらの症状に当てはまる場合、転覆病の可能性があります。
- 背を上にしているが水面付近に浮いたままの事が多い
- 体が水平ではなく尾付近の背中が少し上がって浮ている
- 背が水面から出て浮いている
- 頭を下にした状態で沈んでいる
- 水中に潜るのが難しそうだったり、不自然な浮上をする
- 水面で横になって浮く、あるいは腹を上にして浮く
空気を食べるエア食いが原因の場合は、朝エサを与えたあと転覆して、夕方か夜には正常に泳げるというパターンが多いです。
途中回復することなく何日も転覆したままなケースでは、転覆病よりも他の病気を疑った方が良いかもしれません。
転覆病の治し方
金魚の転覆病の原因でも書いたように、転覆の原因は大きく分けてエア食いの有無に分けられます。
そしてエア食いが無いのに転覆している、あるいは過去にエア食いをしていたが現在はしていない(エア食い出来ないほど状態が悪い)場合は、他の病気の可能性が高いと考えて下さい。
ここでの転覆病の治し方は、エア食いをやめさせる方法をステップごとに紹介していきます。
- エサを変更してみる
- 環境を変えてみる
- 水面をガードする
エサを変更してみる
浮上性のエサを使用している場合は沈下性のエサに変更したり、含まれる原料を考慮したりと、やり方は様々です。
以前書いた記事「エサの後に金魚が空気を食べる転覆病の癖をやめさせる」にエサが原因だった場合の対処方法を書きました。
ただし現在の私の考え方では、エサの変更だけで転覆病が改善する確率は低いと思っています。
むしろ重すぎる沈下性のエサはエア食いを悪化させるのではないかという考えです。
理想的なエサは、比重が1に近いエサであれば金魚の負担が少ないと思います。
環境を変えてみる
環境を変えると警戒心からなのか、しばらくエア食いをやめる金魚が多いです。
例えばエア食いの激しい金魚をバケツなどで隔離して症状の改善を試みるのも良い方法です。
その他に私が試して一定の効果があった方法を紹介します。
口に入る砂利(底砂)を水槽に入れる
私はもともと、底砂がないベアタンクで飼育していましたが、沈下性のエサを入れた時に砂利で探しにくくなる程度の砂利を投入してみました。
するとエサの探索時間が増してエア食いに一定の改善が見られました。
ただし、時間経過とともに慣れて効果は低下していきました。
水面付近に水流を作る
エサに含まれる油分(油膜)を分散する目的と、水面付近にとどまることを困難にするために水流を作ってみたところ、かなり効果がありました。
普段は投げ込み式のフィルターを使用しているのですが、使っていないテトラの外掛け式フィルターがあったので、まずはそれを水位を低くしてで取り付けてみたところ、一定の水流が起きて効果が見られました。
ただし水流が滝のような状態になるので水はねと水音が酷いです。
そこで小型の水中ポンプ(エーハイム・コンパクトオン)で水面付近に水流を作ったところ、かなり効果がありました。
ただし、泳ぎが得意でない金魚が水流に負けることがあったり、その逆に金魚が1~2週間で水流に慣れてエア食いを再発させたりして完全に治すことは出来ませんでした。
水中ポンプの場所を定期的に変えれば、もう少し対応できたかもしれませんが、エア食いのクセが強い金魚は、わずかにある水流の弱い場所を見つけて必死に空気を食べてきます。
金魚が水面に上がれないようにガードする
そもそも水面に上がれなければ空気を食べることが出来ないので、水面付近に網を張り完全に水中に隔離するという方法です。
この方法であれば、物理的に空気を食べることは不可能になり、エア食いが原因で発生していた転覆病を防ぐことが出来ます。
この方法のデメリットとしては、水換えが少し面倒になることと、沈下性のエサしか与えられなくなることです。
また、エア食いのクセが強い金魚は、予想外の方法で執拗に空気を食べてくるので、その対策も必要になります。
水槽に網(ネット)を導入した方法や、クセの強い金魚の対策方法は後編で紹介します。
この記事のまとめ
この記事で私が行った転覆病の治し方を全て紹介しようと思っていたのですが、少し文字数が多くなってしまいそうなので、別の記事に分割することにしました。
結論から言えば、水面付近にネットを張って金魚を水中に隔離したところ、エア食いを原因とした転覆病を完全に治すことが出来ました。
金魚の状態も健康そのもので、それまで日中あまり泳ぐことが無かった金魚が、見違えるようにいつも泳ぎ回っております。
転覆病の対策としてエサの量を制限していたので元気がなかったのかもしれません。